「使う手」にするアプローチとは

今回の記事を読むことで、以下のことを知ることができます。

  • 「動く」と「使う」の違い
  • Transfer Pacakgeの効果

前回の記事で、麻痺手の使用率は患者によって大きな差があるという事実を伝えました。
この事実は、「動く手」にすれば「使う手」になるという間接的アプローチだけでなく、

「使う手」にするための直接的なアプローチが必要であることを示唆させます。



ここで、「動く」と「使う」という言葉の持つ本質を考えてみます。

動く使う
可能性行動

動く手というのは、「使う手」になる可能性の範疇に留まります。
使う手というのは、患者が能動的に行動することです。
そして、可能性があっても必ず行動するとは言えません。

そのため、患者の「可能性と行動」を繋ぐためのアプローチが必要です。そういった「行動」を変えるようなアプローチは「行動心理学的アプローチ」と呼ばれます。

麻痺手における行動心理学的アプローチの代表格としては、

「Transfer Package(TP)」が挙げられます。

TPの効果について明らかにした代表的な研究を紹介します。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.111.000559

この論文では、TP(使う手にするための戦略)をした群(TP+)としなかった群(TP-)で、麻痺手の使用頻度(MAL)に違いがあるのかを検証しています。
結果としては、

TPを追加した群の使用頻度が多かった。

この研究以降、上肢機能関連の介入研究では「機能改善」だけでなく、「使用行動」への効果も検証するのが主流となりました。
それだけ、「動く」と「使う」の間には溝があり、橋を架けるためには専門的な介入が必要であるという事実を研究者(臨床家)が認識したということです。

特に回復期の上肢機能アプローチは「麻痺手を生活行為に活かすために実施されるものであり、それは麻痺手を生活の中で「使う」ことと同義と言えます。そのため、私たちは機能改善アプローチだけでなく、患者の行動を変えるためのアプローチを習得する必要があります。

今後、このTransfer Pacakgeの具体的な実践方法についても記事にしようと思っています。