機能改善と「使う手」は比例関係か? 

以前の記事で回復期における上肢機能アプローチは

・生活行為に活かすための手段

・価値のある生活行為を実現するための手段という位置づけである、と書きました。

では、

機能改善と「使う手」は比例関係か(使える手になれば、使う手になるか)
今回も結論から伝えると、
 
相関するが、個人差が大きい。
となります。

今回はこの結論に至ったEBProcessについて伝えたいと思います。

この記事を読むことで、以下のことを知ることができます。

  • 機能改善だけでは生活で必ずしも使う手にはならないことの根拠
  • 使う手になるには、機能改善以外のアプローチが必要であること

では、よろしくお願いします。


上記の図は、麻痺の重症度と「使う手」の関係を私の感覚でまとめてみたものです。おそらくみなさんの臨床知に近いかと思います。これはあくまで「動く手」を目指した結果、「使う手」になっていくという流れで、比例関係を想定しています。

この私の臨床知を研究論文(2010年)で補強してみます。



Journal of Rehabilitation Medicine – Arm use in patients with subacute stroke monitored by accelerometry: Association with motor impairment and influence on self-dependence – HTML (medicaljournals.se)

https://eeeeebp.net/1209/(新しいタブで開く)この研究は、FMAの点数(横軸)と麻痺手の使用率(縦軸)の関係性を明らかにしています。縦軸の「Arm movement ratio」とは非麻痺手/麻痺手で算出した数値です。1.0の場合は非麻痺手と麻痺手の使用時間は同じとなり、2.0の場合は麻痺手の2倍非麻痺を使用している、ということになります。この論文の結論としては、FMAと麻痺手使用率は相関するとなります。

ここまでは予想通りでしょうか。

ではもう一度、先ほどの図を見てください。
注目ポイントは「FMA35~50」くらいの人たちの麻痺手の使用率です。

使用率に大きな差(幅)がある

これは、麻痺の重症度と「使う手」の間に交絡因子が存在しているということです。麻痺の重症度だけでは「使う手」になるかどうか言えない可能性があります。

どうやら、中等度~軽度の麻痺患者は「使う」量に個人差が出てきそうです。

ここで浮かんでくる疑問。

「使う」量に差が出る要因はなにか

その要因について明らかにした研究(2019)があります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/38/6/38_683/_article/-char/ja

この研究は、患者に「使うことに関する理解度」を聴取しています。その結果、理解度によって「使う頻度」に差があることが明らかになりました。要するに、麻痺の重症度と「使う手」は比例するが、理解度によって幅が出てくるということです。

機能改善が必ずしも「使う手」にならない。ということは、別の角度のアプローチが必要ということです。

次回はこの別の角度からのアプローチの必要性について記事にしようと思います。

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