知るだけでレベルアップ②:「動く手15原則」でもっとも重要なのは…

練習量!!


これまで、このブログでは動く手を目指すアプローチを「樹」で例え、「幹」の部分である

治療原則は、概ね15項目ある

ということを前回伝えました。

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そして、治療原則が15項目もあると中々頭の中で整理できないので、この15項目をカテゴライズしてみました。

それが以下になります。



この4つの項目を単純な公式にしてみると、治療原則(良い経験)の式は以下のようになるかと思います。

治療原則 = ①練習量 + ②練習内容 +③課題設定 +④インタラクション

これは①~④が並列関係にある状態です。並列関係ということは、各カテゴリーの重要度は同一ということになる。言い換えると、どの項目に注力するかの自由度があり、原則としては弱い縛りになっています。

ですが、本当に並列関係なのでしょうか。

そのため、もっと深く治療原則について述べている論文を発掘してみました。

その内の一つの研究を(2021年)を紹介します。 


中枢神経系損傷後の運動機能の回復:自発的な回復を超えた可能性はありますか?- ティッカー (nih.gov)

この研究は総説論文です。
要約すると、

  • 集中的なトレーニングによって機能改善は回復する。しかし、効果は小さく、「自発的な」回復に関連して得られるもの(上の図のこと)。

  • 機能的な動作を反復して行うという標準的な原則に基づけば、どのようなリハビリテーションを行っても機能の回復が達成される(下の表:右列中央)。

この論文では上肢機能アプローチの効果は小さいと述べられています。どういうことか気になるところですが、この点に注視するのは一端置いておきましょう。今はその下の文章が重要です。
そこには、どのようなアプローチを行うかよりも、反復して行う練習(練習量)が重要であると述べられています。


更に別の研究も見てみましょう。次の論文(2021年)は練習量と効果について明らかにした研究です。コクランレビューという有名なシステマティックレビューです。

脳卒中後の活動制限および障害に対するリハビリテーションに費やされた時間の影響 – Clark, B – 2021 |コクラン図書館 (cochranelibrary.com)

図を解説すると、横軸が「練習時間(分)」、縦軸が「効果量」です。練習時間が多くなるほど、効果量が大きくなっています。重要なポイントとしては、図の〇・△・◇で示されている論文たちのアプローチ内容は同じではないということです。
要するに、

どんなアプローチかに関わらず、治療効果と練習量は相関しそう

ということです。

これらの2つの論文から、先ほどの15個の治療原則(4カテゴリー)の中でも、

①練習量が他の治療原則(②~④)よりも優位であること

が分かります。

なので、先ほどの公式を修正してみます。そうすると…

治療原則 = ①練習量 × (②練習内容+③課題設定+④インタラクション)
と表せそうです。


さて、まとめましょう。

脳の再組織化には経験を与えることが必須でした。
運動麻痺を改善するための経験はいくつかあり(15原則4カテゴリー)、その中でも

【練習量】は最重要項目

かもしれません。

そのため、並列関係ではないことを印象づけるため、①と②~④の間に掛け算をあてた公式を考えてみました。

この式は知識を整理しやすくするためのものなので拡大解釈しないようにお願いします。


さて、この公式を知ったことで、みなさんの頭の中に問いが浮かんでいませんか。
【練習量】ってどのくらいの量が必要なの?
 
どうでしょうか。この問いが浮かんでいれば、みなさんの中で順調にEBProcessが身についていると言えるでしょう。
次回はこの【練習量】を深堀りしてみます。膨大な数の論文を要約するので、しばらくお待ちください。