促通反復療法 と CI療法 を段階的に組み合わせよう!
前回の記事では運動麻痺回復ステージ理論について超訳しました。
運動麻痺回復ステージ理論を知らないと運動麻痺を効率的に良くできない 以前、「動く手(機能回復)」にするためには、戦略を立てることが重要だ伝えました。[sitecard subtitle=関連記事 url= https://eeeee[…]
さて、今回の記事はその続きとなります。
まずは下の図を確認してください。これが運動麻痺回復ステージです。
私が臨床で使いやすく超訳したものが下の図です↓
今回はこの各Stageに依拠した上肢機能アプローチについて考えてみたいと思います。この記事では私見を多く含むので、参考程度に読んでください。
この記事を読むことで、
では、まずは各stage毎の回復の特性についてまとめた図があるので、見てください。

このように、各stageで運動麻痺の回復機序が異なっています。そのため、各stage毎にアプローチの方針と内容も変わってきます。
下記の表は、各stageの特徴からアプローチの方針をまとめたものです。

①促通stageは、残存した皮質脊髄路の興奮性が高まる時期。言い換えると、迂回路ではなく正規のルートですので、正しい動きでの回復が期待できる時期と言えます。ここで過剰な努力であったり、試行錯誤が必要な課題をしすぎると、迂回路での機能改善が優先されることになります。迂回路はあくまで補助的な経路なので、機能改善力はそこまで高くないと思われます。
そのため、なるべく他の皮質領域による介在を避け、皮質脊髄路自身の回復を求めるアプローチが必要ということになるでしょう。
この運動麻痺回復ステージ理論にEBPを+して考えると、この時期に選択するアプローチは、
促通反復療法(RFE)
となるのではないでしょうか。RFEは伸張反射などを用いて大脳皮質の興奮を高め、促通手技によって意図した運動を誘導し、神経路の再建を図る治療法です。促通stageとの親和性が高いと言えるかと思います。
他のアプローチとしてはArm Basis Trainingもありますがここでの説明は割愛します。また、電気刺激療法なども興奮性を高めるサポート的立ち位置ですので、このstageで活用するのは効果的でしょうね。
②最適化stageについては、原 寛美先生の論文を参考にします。

この論文を参考にすると、最適化stageに最適なアプローチは、
CI療法
となります。CI療法は課題指向型練習を内包しています。課題指向型練習の理論的背景には皮質間ネットワークの再構築・半球間抑制の解除など、最適化stageとの親和性が高いエビデンスがたくさんあるので、最適なアプローチと言えるでしょう。
③強化stageについては現時点では私が調べた限り、「この治療法」というものは見当たりません。というのも、まったくないのではなく、もっとも効果的なアプローチと言える程、お勧めできるアプローチがない、ということです。
エビデンスについてはたくさんの治療が挙げられますが共通しているのは、
量的練習
が必要ということ。
どのstageでも言えることですが、量的練習はすべての運動麻痺に対するアプローチの基本原則です。この強化stageでは自然回復要素がないため、特に重要です。慢性期を対象とした介入研究の中で効果が示されなかったアプローチの多くは練習量がそもそも少なかったものが多いです。
この量的練習については別の記事で挙げる予定です。
さて、ここまでで各stage毎のおすすめアプローチの紹介が終わりました。ここからは更に、私の研究視点をプラスしたアプローチ方法について伝えていきたいと思っています。
まずはもう一度図を確認します。

よくよく見てみると、各々のstageは重なり合っています。この重なりがアプローチの選択を更に洗練させるポイントです。
- 発症~3カ月:促通stage急降下+最適化・強化stage上昇
- 3カ月~6カ月:最適化stage急降下+強化stage上昇
この2つの期間(ポイント)から分かることは、各stage毎にお勧めのアプローチはありますが、どのstageも時期的な重なりがあるということ。
そのため、「この期間はこのアプローチ」ではなく、「この期間はこのアプローチを優先し、こっちのアプローチは少な目」というような段階的複合アプローチが必要ということです。
例えを載せておきます。私の考えはざっくりとこんな感じです。
少し解説すると、発症初期はRFEを中心に、TOA(課題指向型練習)は少量且つ難易度を低め(代償わずか)に設定します。そこから少しずつRFEとTOAの練習量が入れ替わっていく感覚です。量的練習については経過と共に引き上げていくのが良いかと思います。
このアイデアは私見を多く含みますので、参考程度にしてください。
今回はエビデンスに基づきつつも、今後明らかになっていくであろう未開拓の領域まで話を進めました。運動麻痺回復ステージ理論は特に回復期のセラピストにおいては重要な理論となるかと思います。
是非、活用してみてください。
