比例回復則は精度が高い故に残酷でもある
【比例回復則】とは何か
今回の記事は予後予測の3タイプの内の【比例回復則】についてです。その前に予後予測の大切さについて書いた記事があるのでそちらも是非確認してください。
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比例回復則ということは、患者の運動麻痺の回復は比例の方程式に従うということです。
以下の図のような直線で表すことができる数式のことです(y=ax)。

予後予測のパイオニア的研究を紹介
今でこそ、運動麻痺の回復にはある一定の法則が在りそうだという共通認識がセラピストの中にはありますが、そのことを研究で明らかにした論文があります。下記の図はPrabhakaran S(2008)の論文を基に、Winters C(2015)が発表した研究です。

Prabhakaran S(2008)の論文では、運動麻痺の回復予測値を下記の計算式で求められるとしました。
発症6カ月後のFMA変化量=0.7×(66−発症3日以内のFMA)+0.4
この計算式を活用すると、患者がどの程度回復するかをFMAの数値上で予測することが可能です。
例えば発症3日目のFMAが26点だった場合、
例えば発症3日目のFMAが26点だった場合、
0.7×(66‐26)+0.4=28.4点
となります。そのため発症3日目のFMA26点に、28.4点を足すと6か月後のFMAは54.4点の予想となります。
精度としては対象者の中からほとんど回復しなかった患者を除いた場合は89%の適合率だったそうです。
一方、WinterらはPrabhakaran らのデータを基にこの計算式を更に最適化しています。その結果、
となります。そのため発症3日目のFMA26点に、28.4点を足すと6か月後のFMAは54.4点の予想となります。
精度としては対象者の中からほとんど回復しなかった患者を除いた場合は89%の適合率だったそうです。
一方、WinterらはPrabhakaran らのデータを基にこの計算式を更に最適化しています。その結果、
回復予測値=1.99+0.78×(発症時FMA)
という計算式を導き出しました。
これら予測法は大きな回復を目指す患者に残酷な未来を突きつけることにもなります。
そのため未来を(予後を)患者に伝える前に主治医や家族にその旨を伝え、関係者全員でサポートできる体制を作ることも大切です。
そして、未来はあくまで統計学上の未来であり、変えられる可能性が「0%」ではないことも合わせて伝えることが大切です。
臨床活用の限界について
上記の研究で明らかにされた【比例回復則】は予測度80%とすごい精度です。しかし、回復期ではほとんど使えません。
なぜかというと、「発症3日目のFMA」を知ることができないからです。急性期からの申し送りにFMAを活用しているケースはほとんどないのが現状です。とても残念です。
ですが、この研究の素晴らしいところは計算式を導き出したことだけではありません。
なぜかというと、「発症3日目のFMA」を知ることができないからです。急性期からの申し送りにFMAを活用しているケースはほとんどないのが現状です。とても残念です。
ですが、この研究の素晴らしいところは計算式を導き出したことだけではありません。
- 運動麻痺が比例法則に従って回復する傾向があること(図の青□)、
- 発症3日目で重度麻痺患者の予測には適していないこと(図の赤〇)。
この2点を明らかにしたことで、予後予測の研究は次のステップに進むことになります。
次の記事では、皮質脊髄路の残存度から予測する「PREP2」について紹介します。
