ニョキニョキこそ、私たちの役目
これまでの上肢機能アプローチは、「動く手」にすれば「使う手」になるというルートばかりが整備されていました。しかし、臨床ではそうはいきません。いくら動く手にしても使わない人はいるし、使えないと思った手を何とか使っている人もいる。
これは、「動く手」と「使う手」が一方通行(因果関係)ではなく、対面通行(相関関係)だということ。
そして、同じ麻痺の程度であっても、「使う頻度」には個人で大きな差があることも伝えました。
以前の記事で回復期における上肢機能アプローチは・生活行為に活かすための手段・価値のある生活行為を実現するための手段という位置づけである、と書きました。では、 機能改善と「使う手」は比例関係か(使える手になれば、使う手になるか) 今回[…]
ということは、改めて「動く手」にすることも大切なアプローチだということです。
「動く手」とは機能改善のことですが、それは単純な「回復」だけを指しません。
そう言うと混乱するでしょうか。
ややこしくも、可能性に富んだ「脳」のことについて。
専門用語が並びすぎて、ねおち必須のこの分野をなるべく単純化して伝えたいと思います。

脳の可塑性という言葉をセラピストはよく耳にします。この言葉それ自体が難しい。
そのため、超訳します。
脳の可塑性=可能性
可能性とは、押せば凹む粘土のような性質を表します。それは押せば、変化する可能性を表しています。
カソセイとカノウセイ。
言葉のニュアンスも似ているので、考えやすいかと思います。
では、脳の回復を可能性の観点で3つに分けます。

浮腫は脳が膨らんでいること。医学的治療や時間経過によってプシューっとしぼんで元の大きさに戻ることで麻痺が改善します。
ペナンブラについては、イメージしやすいように図を引用します。

このプシューとペナンはセラピストが関わることができません(医者メイン)。
答えは3つ目の
脳の再組織化です。
再組織化は脳に経験を与えることで起きる変化のことです。
患者に経験の機会を与えることができるのは私たちセラピストかと思います。
では次。
再組織化の種類をお伝えします。

図を見ると分かるように、神経路がニョキニョキ伸びて別の神経細胞にくっつく。そうすると運動が起こるようになります。
これをシナプス接続の変化といいます。
今回の記事では、脳の可塑性について超訳して伝えました。キーワードを下記に置いておきます。
脳のカソセイとはカノウセイ
運動麻痺の回復には「経験」が必要
適切な「経験」を与えられるのはセラピスト
次回は、脳の再組織化を促進するためのアプローチについて、体系的にまとめてみたいと思います。
自分のアプローチは、千切れた葉っぱになっていないだろうか? 前回の記事では、脳卒中後の運動麻痺の回復には局所変化(プシューとペナ)と脳の再組織化があると伝えました。局所変化はセラピストの手が及ぶところになく、わたしたちの役目は脳の再[…]

